状態数と状態密度の定義
後の便利のため、状態数$N(E)$と状態密度$D(E)$を次のように定義する。
\begin{align}
N(E) &= \int_0^E D(E’) dE’ \\
D(E) &= \frac{dN(E)}{dE}
\end{align}
すなわち、状態数は状態密度の積分であり、状態密度は状態数の微分である。ここで、状態数とは、あるエネルギー$E$以下の状態の数である。仮に、エネルギーが昇順に$E_1 < E_2 < E_3 < \cdots$と並んでいるとすると、定義から、状態数は \begin{align} N(E) = \begin{cases} 0 & (E < E_1) \\ 1 & (E_1 \leq E < E_2) \\ 2 & (E_2 \leq E < E_3) \\ \vdots & (\vdots) \\ n & (E_n \leq E < E_{n+1}) \\ \vdots & (\vdots) \end{cases} \end{align} のように階段状の関数となる。
3次元の場合
3次元の場合について考える。3次元自由粒子は、無限次元井戸型ポテンシャルの中で運動する粒子としてモデル化できる。量子力学から導かれる結果として、3次元自由粒子のエネルギー$E_n$は自然数$n_x, n_y, n_z$を用いて
\begin{align}\label{eq:3次元でのエネルギー}
E_n = \frac{\hbar^2 \pi^2}{2mL^2} (n_x^2 + n_y^2 + n_z^2)
\end{align}
である。添え字$n_x, n_y, n_z$を$n$としてまとめている。
状態数$N(E)$はその定義から、$E$以下のエネルギーを持つ状態の数である。$E_{n} \leq E < E_{n+1}$ を満たすような$E$の場合、式\eqref{eq:3次元でのエネルギー}より、$E_0 = {\hbar^2 \pi^2}/{2mL^2}$ とおくと$E \leq E_0(n_x^2 + n_y^2 + n_z^2) $を満たす自然数の組$(n_x, n_y, n_z)$の数が状態数$N(E)$に他ならない。つまり、 \begin{align}\label{eq:3次元での状態数の不等式} \frac{E}{E_0} \geq n_x^2 + n_y^2 + n_z^2 \end{align} を満たすような自然数の組$(n_x, n_y, n_z)$の数を数えることが状態数$N(E)$を求めることと同値である。
式\eqref{eq:3次元での状態数の不等式}を満たす自然数の組$(n_x, n_y, n_z)$の数を数えたいが、直接数えるのは困難である。そのため、半径$R = \sqrt{{E}/{E_0}}$の球の中に含まれる自然数の組$(n_x, n_y, n_z)$の数を数えることを考える。半径$R$の球の体積は \begin{align} V_3(R) = \frac{4}{3} \pi R^3 \end{align} であり、自然数の組$(n_x, n_y, n_z)$は1辺の長さが1の立方体の格子点として表すことができるので、それらが無数に集まって球を埋め尽くすと考えれば、$N(E)$は
\begin{align}\label{eq:3次元での状態数} N(E) &\approx \frac{1}{8} V_3(R) \\ &= \frac{1}{8} \cdot \frac{4}{3} \pi \left(\sqrt{\frac{E}{E_0}}\right)^3 = \frac{\pi}{6} \left(\frac{E}{E_0}\right)^{3/2} \end{align}
と近似できる。$1/8$をかけているのは、球の体積は8つの象限にまたがっているのに対し、考えたい自然数の組$(n_x, n_y, n_z)$は第1象限にしか存在しないためである。この近似をしっかり考えたければ、$E_{n} \leq E < E_{n+1}$を満たすように$E_{n+1}$についても同様に考えて不等式で挟み、極限をとってはさみうちの原理を用いればよい。
状態密度については、定義から
\begin{align}
D(E) &= \frac{dN(E)}{dE} \\
&\approx \frac{d}{dE} \left( \frac{\pi}{6} \left(\frac{E}{E_0}\right)^{3/2} \right) = \frac{\pi}{4 E_0^{3/2}} E^{1/2}
\end{align}
となって、エネルギーの平方根に比例することがわかる。
参考文献
田崎晴明、統計力学I、培風館
→本記事では、近似がかなり雑に扱われているが、より厳密な議論はこの本に詳しい。また、$d$次元における議論についても付録に収められている。


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