【夏にやるならコレ一択】サマポケRBレビュー

ノベルゲーム
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「眩しさだけは、忘れなかった」

思いだして欲しい、あの夏休みを。 Keyが贈る、懐かしさへと還る物語。

先日(といってもだいぶ前)にサマーポケッツリフレクションブルーを攻略したので、そのレビューを感想を含めて述べようと思う。(挿入画像はすべてゲームより引用。)

結論、夏にやるならコレ一択。

とはいえ、ここはちょっと…という点がなかった訳ではないのでそこについても後程。

なお、概要・感想のセクションでは、未プレイの方、プレイ済みの方双方が楽しめるように、ネタバレありのものとネタバレあり(考察含む)を別タブで用意している。

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作品概要

CLANNADでおなじみのKey制作のノベルゲームである。なお、サマポケRBは、サマポケ(無印)に数名のヒロインのシナリオを追加したものである。プラットホームはPC,PS4,Nintendo Switch,IOS,Androidである。ただ、個人的にはPCをおすすめする。アーケードゲームが楽しめるからである。

※2024年9月27日(金)にPC通常版パッケージが発売されるので、PC版のパッケージを買いたい方は待たれることをお勧めする。(一応、初回限定版の中古を買うという手もあるにはある)

  • PC版
  • Switch版
  • PS4版

公式サイト↓

Summer Pockets REFLECTION BLUE
PC用ゲーム『Summer Pockets REFLECTION BLUE -サマーポケッツ リフレクションブルー-』オフィシャルサイト

あらすじ

本作は、主人公鷹原羽依里が、祖母の遺品整理という名目で、瀬戸内海に位置する「鳥白島」に訪れる場面から始まる。

過去に失敗をし、それを引きずっている主人公が、島内でヒロインと共に夏休みを過ごすことで、その傷を癒していく話。

普通にボロ泣きである。

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ヒロイン

以下、ヒロインを簡単に説明する。

鳴瀬しろは

今作のメインヒロイン。正真正銘のぼっちである。しかし、それには彼女なりの、周囲を気遣う優しい心が理由だったりする。まぁやればわかるよ…
どすこい!

空門蒼

駄菓子屋でアルバイトをしている少女。いろいろな場所で寝ている姿が見受けられるが、それにもやはり理由が…耳年増 である。

久島鴎

島に海賊船を探しにやってきた少女。いつも大きなスーツケースをひいているが、これにももちろん理由が。主人公と同様、この夏だけ滞在する。

紬ヴェンダース

島の灯台に住むドイツ系ハーフの少女。この夏、「やりたいこと」を探している。「やりたいこと」の真意とは…


以下、RBで新たにルートが追加されたヒロインの紹介。なお、神山識以外は無印でもサブキャラクターとして登場する。

野村美希

鳥白島少年団の治安維持執行部に属する少女。島への愛着が強く、島の風紀を乱す者を放っておけない。海水浴場以外で裸になると撃たれる。

水織静久

紬に会うために島へやってくる少女。おっぱいに対して並々ならぬ愛情と敬意を持っている。海の家を再建しようとしている。

加藤うみ

主人公のはとこにあたる少女。年齢の割に大人びた雰囲気を持つ。チャーハンに対して並々ならぬ熱意を持つ。まあそれにも当然理由があるんだけどね…
※このヒロインは、主人公と恋人という関係になることはないが、実はより深い関係にあったりする。トゥルールート参照。

神山識

鬼の伝承を求めて島にやってきた少女。年齢の割に博識で、いろいろなことを「識って」いる。島に来るのは初めてのはずだが、妙に島に詳しい。当然理由、あるよね…

今回は、ヒロインに限定させてもらったが、サブキャラクター(主に男性)も非常に魅力的である。男性キャラクターも魅力的なのがKey作品の良さだったりする。詳細は下記より(公式HP)

Summer Pockets REFLECTION BLUE
PC用ゲーム『Summer Pockets REFLECTION BLUE -サマーポケッツ リフレクションブルー-』オフィシャルサイト
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おすすめポイント

「夏」という季節感

作品名に「サマーポケッツ」とあるように、サマーをポケット、つまり、夏(の思い出)を集めていくお話である。夏が全面に押し出されている。

この作品を遊べば、夏休みはいつも家に引きこもってる僕らオタクたち(風評被害)であっても、幼い時に、日が沈むまで遊んだ、

あのころの夏休みを思い出せる。

VoxiZ
VoxiZ

ガキの頃もお前はそんな夏休み過ごさず、家に引き籠ってただろって?

うるさい!だまれ!

ともかく、季節感をうまく演出した作品は、夏にやるにはもってこいの名作なのである。

泣けるシナリオ

どんな時も──  夏の青さを、覚えていた

Key作品というだけあって、当然泣ける。

この作品の主軸の一つとして、主人公の心の傷を癒すことが挙げられるが、ヒロイン側も大なり小なり問題を抱えている。ヒロインと主人公の交流を通して、主人公だけでなくヒロインも互いに問題を解決していく様子は、涙なしでは見られないだろう。

夏休みには当然終わりがある。いくら夏休みを楽しんでいたとしても、8月下旬に差し掛かると、その終わりを意識せずにはいられない。

VoxiZ
VoxiZ

国立大の大学生は10月のはじめまで夏休みなんだ。すまんな!

遺品整理という名目で島を訪れた主人公にとって、夏休みが終わるというのはどのような形であれ、ヒロインとの別れを意味する。終わりが見えているからこそ、期限付きだからこそ輝く夏が、ヒロインとの思い出がそこにはあるのである。

夏休みというワクワク感や高揚感と同時に終わりがあるゆえのしんみり感、喪失感をこの作品はあなたに届けてくれるだろう。

聖地巡礼の楽しさ

ちなみに、主はまだ聖地巡礼できていない。来年あたり行きたい。

サマポケに登場する鳥白島は、香川県の直島、男木島、女木島を基にしている。島全体でかなりサマポケを推しており、サマポケに関連したお店も多くあるほか、夏には毎年サマポケ関連のイベントが開かれている。

作品だけでなく、作品攻略後の聖地巡礼まで楽しいという、アフターサービスも完璧なコンテンツなわけである。

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気になった点

ヒロイン多すぎ問題

無印で4人だったヒロインルートが、RBで計8人になった。それゆえ、トゥルールートまでが非常に長い。個別ルートよりもトゥルールートを重視している人にとっては、個別ルートが億劫に感じられるかもしれない。

実際、個人としては、RBで追加されたヒロインがあまり好みではなかったことも相まって、攻略までかなり時間を要してしまった。

RBは蛇足気味というのが正直な感想。これからサマポケをやる人は、RBのほうをとりあえず購入すればよいと思うが、RB追加ヒロインはトゥルールートに深く関わってくるわけではないので、無印でも問題ない人も当然いるだろう。

とはいえ、ヒロインの多さはシナリオの豊富さでもあるので、むしろメリットと考える人も多いだろう。

オリジナリティはないかも

ストーリーとしてはKeyの某作品に似ていると感じた。原案に某作品を手掛けた麻枝准氏の名があるので当然といえば当然かもしれないが。

  • 注意
  • 某作品について

作品名を言ってしまうと、その作品をプレイしたことがある人にとっては大きなネタバレになりうるので、一応某作品としていますが、知りたい方は右側のタブ「某作品について」を開いてください。

某作品とはCLANNADのこと。サマポケの一連の話の流れがCLANNADと酷似している。とはいえ、違いももちろん多々ある。春の作品であるCLANNADを夏使用、現代使用にし、だーまえ独特の癖を取り払ったのがサマポケという感じがする。

とはいえ、話の大筋(特にトゥルールートの)が某作品に似ているというだけであって、仮に某作品をプレイしたことがあったとしても十分に楽しめる。ソースは俺。

某作品ももちろん名作であるので、サマポケが面白い、名作であることは確かな事実ではある。ただ、オリジナリティのある作品を求めている人には向かないかもしれない。特に某作品をプレイしたことがある人には。

各ルート概要・感想

ルート別の概要と感想について述べていく。感想に関しては、あくまで個人の見解であることを留意されたい。批判的なものがあったとしても、それは筆者の趣味趣向が反映された結果として、前向きにとらえてもらえると助かる。なお、筆者の攻略順に記述している。

未プレイの方は、ネタバレなしのみの視聴を推奨する。忠告はしたぞ。概要と感想の記述に止めている。

プレイ済みの方は、ネタバレありも見てほしい。稚拙ではあるものの、考察も記述している。

蒼ルート

―――君に、笑っていてほしいから。

  • ネタバレなし
  • ネタバレあり

サマポケでは、七影蝶という蝶が登場するが、このルートは七影蝶の本質に触れるシナリオである。だから、ある意味ではこのルートを序盤にプレイすることはネタバレになるのだが、正直あまり気にしなくていいと思った。私は一番最初に攻略した。

上記のように、七影蝶という物語の根幹にかかわる事柄に関して詳しく学べるので、重要なルートとなっている。

キャラデザがあまり好みではなかったが、プレイしていくうちに気付けば蒼の魅力の虜になっていた。性の知識が豊富そうなのに、以外とそういうことに慣れてなさそうな感じはオタク受けしそう(偏見)なお、このゲームはR18ではない。

いろいろなところで寝ている姿がよく見られるが、それが伏線だとは思いもしなかった。毎晩遅くまで七影蝶を集めている弊害として、睡眠時間が長くなってしまうとは…

自分の身を削ってまで、眠りについた姉のために頑張る姿勢は、感動以外しようもない。

蒼と仲良くなっていくと、七影蝶を集めようとしている蒼と遭遇したり、姉の診療所に通っている事実を知ったりするが、他ヒロインルートだと、診療所に行く用事も「野暮用」と濁されてしまい、少し寂しい。

のみきルート

―――君と、「ありがとう」を伝えるために。

  • ネタバレなし
  • ネタバレあり

申し訳ないが、筆者にはあまり刺さらなかった。ヒロインの容姿、性格が筆者の好みではなかったからである。(だぞっ子があんまり好きじゃないんですすみません…)

とはいえ、ボーイッシュ(?)属性を持つヒロインはサマポケではのみきだけなので、そういうヒロインが好みの方にとっては高い評価を与えられ得るルートであり、ヒロインであるとも感じた。

他のヒロインのルートの衝撃があまりにも強かったせいか、私個人はこのルートから大きな刺激を受けることができなかった。これは静久ルートにも共通することであるが。

のみきの島を想う理由(わざわざ少年団治安維持執行部として日夜働いている理由)が明示されていてよかった。また、のみきと一緒に島のPR記事を作ることを通して、鳥白島、ひいてはモデルとなった直島、男木島、女木島の魅力に触れられてよかった。

のみきの出生に関する話だった。いなくなってしまった両親の代わりに自分を育ててくれた島の人、ひいては島全体に対するのみきの強い思いが感じ取れた。

この島への、僅かばかりの恩返しだ」というキービジュアルにある言葉の意図が、しっかり反映されていたルートで、そこは高評価。

鴎ルート

―――君と、最高の冒険を。

  • ネタバレなし
  • ネタバレあり

筆者がヒロイン、ルートと共に一番好きなルート。

海賊船を探すという、夏休みらしい?大冒険がテーマ。子供のころ、日が暮れるまで大冒険をしたあの頃を思い出させてくれる。(あれ、そんな思い出ないぞ?)

ザ・清楚系お嬢様という黒髪ロングという容姿にもかかわらず、すごく活発的でそのギャップがすごくいい。というか、なにより声がドストライクすぎた。しろは同様、ヒロインとしての人気も非常に高い。

楽しい大冒険のワクワク感とは裏腹に、主人公同様、夏休みの間だけという期限付きで島に来ているので、シナリオ後半の別れを感じさせる焦燥感、喪失感がたまらない。

ネタバレになるので詳細は控えるが、終盤に差し掛かるにつれて、一気に話が進む。「ええ!マジ!?」となるのが一番多かったのもこのルート。

最高の夏をありがとう。あと、とてもむごっほ!

主人公と以前に会っていたことを匂わせる描写がいくつもあったので、そういうことなんだなと思っていたが、完全にミスリードだった。やるな!

実は足が不自由で、杖代わりとしてスーツケースを引いていた。本当に設定がしっかりしている。

「永遠に覚めることのない眠り」とあるので、おそらく病気が理由で死んでしまったのだろう。登場時点で死亡が確定しているヒロインである。(もしかしたら脳死や植物状態かも?)

「七つの海を越えてあなたに会いに行きます」と最後に鴎は言うが、その真意は何だったのだろうか。七つの海という言葉通り、鴎の眠るヨーロッパの病院から主人公のいる日本までに超える海の数を意味するのだろうか。はたまた、輪廻転生という意味なのか。

一番幸せになってほしい、そんなヒロイン。

紬ルート

―――君のために、今できること。

  • ネタバレなし
  • ネタバレあり

「かわいい」という言葉が一番似合うヒロイン。「むぎゅ」という口癖の虜になった人は多いはず。なんだか応援したくなる、そんなキャラ。キャラ人気も非常に高い。それも頷ける。

おそらく、多くの人が感動できるシナリオだと思う。実際、筆者はクライマックスでしっかり号泣した。

ただその反面、ある程度勘がいい人なら、途中で結末に気付きそうな気はする。言葉にはできない一抹の不安を感じながら終盤を迎えることになると思う。それはそれで大好物ではある。

鴎ルート同様、「期限付きの夏休み」という感じが強く、焦燥感がたまらない。

まさかの人間じゃないというオチ。KANONでいう真琴的立ち位置といったところか。

最後の最後で人間としての姿で再び主人公に再開したことを匂わせるシーンがあったが、そこに疑問を抱かずにはいられなかった。ツムギからまた体を借りることに成功したのだろうか。

個人的にはツムギがどうなったのか非常に気になる。

しろはルート

―――君と、乗り越える夏。

  • ネタバレなし
  • ネタバレあり

メインヒロインというだけあって、トゥルールートとも密接に関わってくる。

はじめはツンツンしていたしろはが、だんだんと丸くなっていく様子は、多くのゲーマーを虜にするに違いない。しろははヒロイン力が非常に高く、人気もトップである。

どのルートも、主人公の心の傷を癒す趣旨のものであるが、このルートではとくにその色が濃かったように思う。「主人公とヒロインがともに、自らの問題と立ち向かう」というのが、一番濃くでたルートだったように感じた。

ただ、シナリオとしてはトゥルールートありきなところもあり、単体だと他ルートに比べて弱い印象は否めない。

しろはは未来視の能力があり、それによって自分が夏鳥の儀で死ぬ未来を視てしまう。しろはルートではそれを乗り越えているが、他のルートではしろはは死んでしまうのだろうか。しかし、そう仮定した場合、もっと島で騒ぎが起こっていてもいいような気がする。(ぼっちだから気付かれなかった?それはあまりにも可哀そうすぎる。)

というか、少なくともうみルートでは生きていた。夏鳥の儀で実際に死にそうになっていたのは(筆者の記憶通りなら)しろはルートのみだった気がする。主人公がしろはと密接になることで発動する呪い的なものだったのだろうか。

筆者は中盤でこのルートに入ったが、「夏を何度も繰り返す」という視点から見れば、時系列的には一番初めのルートにあたるのだろうか。

静久ルート

―――何度でも、君に愛を伝えて。

  • ネタバレなし
  • ネタバレあり

紬とセットで、といわれているから、あまり時間を離さずプレイすることをおすすめする。また、紬ルートのネタバレがあるので、紬ルートを先にやるべき。

普段真面目な生徒会長である静久の意外な一面をみることができる。彼女がおっぱいにこだわる理由とかも。(静久は作中トップの胸の持ち主である。それも圧倒的に。)

紬と静久と主人公のトリオが好きな人にとっては、サマポケRBでの静久ルート追加は非常にうれしいものだったと思われる。実際、このルートでも、三人の夏休み(海の家再建)を楽しめる。

とはいえ、個人的な感想としては、紬ルートがあまりによかったために、比較するとあっさりした印象が強かった。静久が好き、あるいは前述のトリオが好きという場合は楽しめるが、そうでない場合、退屈に感じてしまうかもしれない。泣けるポイントは少なかった(個人談)

他のヒロインが、かなり壮大なテーマを持つ中、家族内でのトラブルという、比較すると小規模なテーマだったと思う。だが、それゆえに共感を得やすいのも確かだろうと思う。

家族内のトラブルという問題を抱えているため、「優秀な生徒会長」とは裏腹に弱い一面が中盤からたくさん見られた。しかし、終盤になると、今度は静久が主人公を励ます番となり、主人公をさせた。「やっぱり、静久は強いんだな。」と評価が二転三転した。すごい。

静久の「人間としての強さ」を目の当たりにしたルートだった。

識ルート

―――君が繫げてくれたものを、胸に。

  • ネタバレなし
  • ネタバレあり

しろはルートのネタバレが含まれるので、しろはルートの後推奨。

毛色が異なるルート。RB追加ルートは、識以外は物語そのものには登場していたヒロインのルートであった。しかし、識はヒロインそのものがRBから追加されたヒロインである。そのため、識は他のヒロインのルートでは登場しない。

見た目は明らかに主人公より年下なのにも関わらず、博識で、島のこともよく知っている。とはいっても、情緒は年相応でめちゃくちゃ泣く。

島の秘密にもかなり触れてくるので、ヒロインとしてのルートだけでなく、島の文化や遺産を巡るストーリーとして面白かった。

年のわりに博識だった点、来たことのない島のはずなのにやけに詳しかった点など、いろいろと伏線があったがしっかり回収された。まさか、タイムリープだったとは。

島の住民を津波から守るために、自らが犠牲になるなんて、齢14程度の少女の考えることなのだろうか…(現代の価値観で物事を図ってはいけないが)

がっつり過去改変している。過去改変あるあるだが、過去改変に成功 ⇒ 過去改変する動機がなくなる ⇒ 過去改変しない となると思う。所謂タイムパラドックス。過去の出来事を一直線の時間軸で考えると矛盾するが、もう一つの高次元な世界から見た時間を定義すればなんとか腑に落ちる?(あるいは量子力学的な不安定さ(不確定性原理)をもちいて説明するとか?)

過去改変した結果、島民の命は救えたが、識自身は津波で死んでしまうという、ビターエンドとなっている。(精神レベルでみれば、肉体に固執すること自体が滑稽なのかもしれないが)

トゥルールート(ALKA + Pockets)

―――何度でも、あの夏を。

  • ネタバレなし
  • ネタバレあり

しろはルートのその先へ、という感じである。メインヒロインであるしろはともう一人のある少女、そして主人公という三人を中心に話が展開されていく。

物足りない、と感じていたしろはルートだったが、あえて物足りなさを残すことでトゥルーエンドを通じての満足感向上につなげたのではないだろうか。そう考えると凄まじい。

トゥルールートをやると、しろはへの好感度が一気に上がる。そういう意味では(まあメインヒロインだから当然ではあるが)さしずめしろはアフターである。

一応、ALKAとPOCKETSという二つのルートから構成されているが、間髪を入れずそのまま二つともプレイしてほしい。というか、ALKA攻略後はすぐにでもPOCKETSをやりたくなっていることだろう。

シナリオの完成度は高い。(某作品に展開は酷似しているから当然ではあるが)各ヒロインのルートですら、泣きゲーにふさわしいものにも関わらず、トゥルールートによって一気に、より一層完成度が高まっている。

時系列の組込みが秀逸だった。これまでのルートで、なんとなく現代とは異なる時代のような感じはしていた。(たとえば、連絡手段が固定電話であった点)

そして、決定的だったのは「ログインボーナス」という言葉に対するうみちゃんと主人公の反応の違いだ。うみちゃんが抵抗なくその言葉を使っていたのに対し、主人公は聞き覚えのない感じの反応だった。

これらから、主人公たちは過去(おそらく昭和くらい?)の夏を過ごしており、うみちゃんは現在(おそらく平成以降)の夏を過ごしていることが分かり、それがうみちゃんが主人公の娘であることを示唆するものとなっていた。全く脱帽である。

ギャルゲーでは複数人のヒロインが登場するため、ヒロインごとに世界線がことなるのが一般的だ。しかし、サマポケは「夏のやり直し」というアプローチでそれに対処している。

とはいえ、やり直すために「過去を繰り返す」と言っている時点で、過去を繰り返す、やりなおそうとしていること自体が未来の話になってしまうわけで、時間軸を一つに固定した場合矛盾が生じてしまうが。(この世界よりも高次元な世界での時間軸を導入すれば、解決できるかも)

うみルート

―――「お父さん」になるために。

  • ネタバレなし
  • ネタバレあり

うみルートは、うみが主人公のことを「鷹原さん」と呼んでいる時のみ入ることができる。それ以外の時はバッドエンドになるので注意。

つまり、事実上序盤あるいはトゥルーエンド攻略後にのみ攻略可能となる。

当初は、トゥルールートの後ということもあり、比較したときにやはり勢いが落ちた感が否めなかった。しかし、後半からの加速感が心地よく、非常に満足してうみルートを、ひいてはサマーポケッツという作品を終了できた。

序盤攻略派とトゥルールート後派に分かれるが、後者をお勧めする。トゥルールートを通じて、うみの境遇をしっかりと知ったうえでプレイしたほうが、得るものが大きい気がする。(序盤にやると、疑問が残るうえ、それが解消されるまでに時間がかなりかかってしまう。まあ、トゥルーエンドでサマポケ終了のほうが、きれいではあるが)

個人的には、主人公の心の傷が癒えた後の話が最もよく書かれているので、他ルートと差別化が図れていてよいと思った。

至る所でトゥルールートとの関係が感じられる。「ちょっとだけ、ばいばい」という発言はそのまんまだし、最後のうみがいなくなるシーンは、トゥルールート攻略後だとより理解が深まる。

未来のお父さんがお父さん役をするというなかなか面白い設定だった。

うみが羽未であることを知ってから見るのと、知らずに見るのとでは印象が全く違うと思う。

総評

結論、夏にやるならコレ一択。

である。夏という季節感と、Keyというブランドらしい泣きゲーっぷりは、プレイヤーの夏休みを普段とは違う、眩しさに包まれた「夏休み」にしてくれるだろう。

また、たとえ夏でなくても、Keyの作品に触れたい、泣きゲーをプレイしたいという人にとっては、優秀な選択肢の一つになりうる。

ただ、RBでルートが大幅に追加されたことで、クリアまでが非常に長く、初心者にはややお勧めしづらい作品と感じた。

とはいえ、同じくKey作品であるCLANNADやAIR,KANONと同様に、後世に語り継がれうる、不変で普遍な価値をもつ名作であると思う。

オタク
オタク

何を偉そうに…..

VoxiZ
VoxiZ

ごめんなさい

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これからプレイする人・気になった人へ

この記事を通して、サマポケに興味を持ってくれた人のために何点か追加情報を提示しておこう。

攻略順について

前提として、うみルートは序盤、あるいはトゥルールート終了後しか攻略できない。

シナリオの関係上、攻略するうえで以下のことに注意して順番を決めてもらうのがよいだろう。

  • 蒼ルートは、七影蝶に関するネタバレが含まれる。(とはいえ、あまり気にしなくてもいい)
  • 静久ルートは必ず紬ルートの後にやるべき
  • 識ルートは必ずしろはルートの後にやるべき

以上に留意してもらえれば、あとは自分の本能のままに好きなヒロインから攻略してもらって構わない。

アニメ化について

2025年にアニメ化されることが公式から発表された。

8000円程度するゲームであり、決して安い買い物ではないためアニメで雰囲気を掴んでからプレイするかどうか決めるのも一つの手だろう。

ただ、昨今のアニメ事情を鑑みると、12話でストーリーが作られる可能性が高い。そうなると、メインヒロインのしろはルート+トゥルールートに限定したとしても、尺的にはかなりきついだろう

⇒、公式から2クールであると発表された。やったね。

また、サマポケはトゥルールートだけでなく、各ヒロインの個別ルートも非常に魅力的なので、ぜひゲームを購入してほしく思う。

  • PC版
  • Switch版
  • PS4版

はしがき

筆が走りに走って10000文字を超えてしまいました。それだけ思い入れのある作品ということで。

久しぶりにノベルゲーの記事を書きましたが、まだまだ全然追いついてないので、がんばります。

おそらく次はアトリのレビュー・感想になると思います。アニメ版との比較も兼ねて。

夏の思い出を胸に明日を生きよう。
それでは!

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