えいえんはあるよ、ここにあるよ。
忘れもしない1998年5月29日、伝説は始まった。新しい世界に出逢った。終わってしまった永遠と。
お前生まれてないだろ。
すみません、調子乗りました。
気を取り直して、今回は「泣きゲーの元祖」ともいわれる。「ONE ~輝く季節へ~」のリメイク版である「ONE.」のレビュー兼紹介をしていきたいと思います。ヨロシク。先を急ぐ人は「感想・攻略順」をみてね。
そもそも泣きゲーって?
「泣きゲーの元祖」っていうのは分かったけど、そもそも泣きゲーってなんぞ?
その名の通り、感動的で「泣ける」ゲームのことやで。
1980年代後半から2000年代初頭は、ノベルゲームの黎明期と呼ばれたらしい。エルフの「同級生」を筆頭に所謂エロゲーと呼ばれるゲームも台頭してきた。ただ、当時のギャルゲーは性的な描写に注力したものが多かったらしい。(いや、エ〇も全然いいんだけど)
そんな中、颯爽と現れたエロゲーがあった。
それがONEっちゅ~わけよ
いやもう何がすごいって
泣ける泣ける。
瞬く間にシナリオでプレイヤーを虜にしたわけよ(知ったかぶり)
「性的描写だけじゃなく、シナリオにも重視しよう」っていう動きがエロゲ界隈で生まれたきっかけがONEだったりする。あとはKANONかな。
なんやかんやあって、泣けるゲーム、「泣きゲー」という概念が生まれて、ONEは「泣きゲーの元祖」と呼ばれる存在となったわけ
作品紹介
えいえんの世界(舞台紹介)
この作品では、計6名のヒロインが出てくるんだけど、どのルートにおいても主人公折原 浩平の「えいえんの世界」についての言及がされている。
連綿と続く人生の中で皆さん一度は考えたことがあるのではないだろうか。
あの頃に戻りてぇ~
と。代り映えしない日常と、まぶしかったあの頃。人間は過去を美化する傾向にあるとわかっていても、回顧と懐古の念が絶えることはない。けれど、普段気にしていない何気ない日々、今この瞬間こそがかけがえのないものであることもまた、事実なのだ。
繰り返される日常の中にある変わらないもの、いつでもそこにある見慣れた風景。追い求める「えいえんの世界」との遭遇。
少年は気付く。日常こそが、好きだったことさえ気づかなかった、大好きな人のぬくもりこそが、自分をこの世界に繋ぎ止めてくれているものなのだと。
少年は求めた。大好きな人との絆を、自分を確かに形作る、この世界を。
少年は選ぶ。「日常」か「えいえんの世界」かを。
少年はどこにいるのだろうか。だれが彼の手を握っているのだろうか。
この物語は、そんな「えいえんの世界」を題材にしたものです。
ヒロイン紹介
ギャルゲーはやっぱりシナリオよりキャラやろ!(鼻息)
落ち着け。
どんなに舞台設定が素晴らしくても、攻略対象であるヒロインたちが可愛くなかったら面白味は半減する。そんなわけで、ヒロインの簡単な紹介や。
長森瑞佳
今作のメインヒロインで主人公浩平の幼馴染。浩平のことをいつも心配しており、毎朝起こしに来る。別名だよもん星人。
七瀬留美
浩平のクラスに転校してきた少女。乙女らしく振舞おうとしているが、浩平によくちょっかいをかけられる。天候初日に曲がり角でぶつかるという古典的な出会いをする。
川名みさき
浩平の先輩。小学生の時の事故で視力を失ってしまうが、ハンデを感じさせないほど前向きで明るい性格。実は大食漢。好物は学食のカツカレー。
里村茜
浩平のクラスメイト。普段は物静かで大人しいが、芯はしっかりとあり、思ったことはしっかりと口にする。大雨の日には、空き地に誰かを待っているかのように佇んでいる。
上月澪
浩平の後輩。明るく、元気だが実は言葉が話せないため、筆談用にスケッチブックを持ち歩いている。どんなことにも一生懸命。
椎名繭
(おそらく)中学生の少女。登校拒否児で見た目よりも精神的に幼い。唯一の友達であったフェレットを亡くし、泣きじゃくっていたが、浩平との出会いを機に成長していく。
ちなみに、ヒロインではないが、氷上シュンという男性キャラクターのルートも存在する。結構重要なルートとなっている。
感想・攻略順
作品の世界観とヒロインは大体わかった。ただ、実際問題プレイしてどんな感じやった?
感想を踏まえながら、この作品の主観的な評価とおすすめ攻略順を説明するぞ。
感想※ネタバレなし
まず、どうしても主観的な評価にならざるを得ないことに関して謝罪させてほしい。あくまで個人の見解であり、仮に否定的なものがあっても決して作品を陥れる目的ではないことを理解していただきたい。
ヒロイン別
瑞佳ルート
幼馴染という立ち位置なので、「好きだったことさえ気づかなかった、大好きな人のぬくもり」そのものである。メインヒロインらしく、作品のテーマに即したルートといえる。健気でまっすぐな彼女の姿に、一瞬で虜になるだろう。ただ、良心の痛む選択を迫られることが多々あり、精神の疲弊は激しい。最終的に瑞佳が報われたのでOKだけれども…
留美ルート
ギャルゲーらしいルート。出会いは最悪だったけど、あるイベントを通じて仲が深まっていく。まさにツンデレヒロイン。ルートを進めていくと、乙女を目指し始めた理由もわかる。主人公に対して、一途なかわいらしい面と、人としての強さが感じられて、ヒロインとしての魅力はすごく高い。
みさきルート
盲目のヒロインということもあり、身体的障碍者に対してどう接するべきか、考えさせられることが多かった。唯一の先輩ヒロインだけあって、他では感じられないバブみを感じられた。「卒業」という目に見える終わりがあるからこそ、日常の中でも「終わり」が意識されて切なかった。挿入絵に関しては、みさき先輩の雰囲気に合った美しくもはかない雰囲気で、一番好き。
茜ルート
「感動」という意味ではトップであると思う。浩平から茜に対してだけでなく、茜から浩平への強い思いも感じられた。ヒロインとしても、シナリオとしても最高だが、それゆえ何を語ってもネタバレとなってしまうのが残念。プレイしているときのドキドキとワクワクは、作中随一だったと思う。
澪ルート
後輩キャラの癒し系ヒロイン。怠け者の浩平らしからぬ、ヒロインに対する献身を見ることができるルート。浩平の良さを存分に感じられる。小動物のキャラクターが好きな人は間違いなくはまると思われる。
繭ルート
他ルートと異なり、留美や瑞佳といったほかのヒロインと一緒に、繭の成長を見守る話。恋愛ADVにこういうシナリオを入れてくるのはなかなか面白いと思った。泣き虫だった繭がいくつもの困難を乗り越えて成長していく様子をみると、「親になるってこんな感じなのかな」と思えた。個人的には繭と瑞佳と浩平のトリオが疑似家族みたいな感じで推せる。
※シュンルートはまじで何かいても大きなネタバレになるので割愛。
全体
結論として、タイトルの通り、
名作だが、薦めにくい。
というのが正直な感想である。KANONと並んで「泣きゲーの元祖」と呼ばれるように、名作には違いない。当時では革新的なゲームだったであろう。
ただ、おすすめできる、万人受けするとは言い切れないのも本音だ。
もちろん、「えいえんのせかい」という舞台設定は個人的にはとても好きであるし、ヒロインも魅力的であるといえる。
ただ、現代の作品と比べるとやはりシステム面、シナリオ面ともに洗練され切っていないように感じた。現代の作品は過去の名作を踏襲して作られるので当然といえば当然であるが。
もう一点大きな理由として、シナリオライターの癖が強いということだ。この作品ではだーまえこと麻枝准氏と久弥直樹氏がシナリオライターとして起用されているが、特にだーまえのシナリオはかなり癖が強い。現在でも、だーまえのシナリオは癖が強いといわれるが、この作品ではそれがより強く感じられる。長森瑞佳√にそれが表れている。
癖の強さも含め、筆者個人としてはだーまえのシナリオは好きではあるが、ノベルゲーをこれからはじめるというような人には薦められない。だーまえのシナリオに興味がある人であっても、この作品からではなく、まずはCLANNADやリトルバスターズ!などを先にプレイすることをおすすめする。だーまえらしさもありながら、癖の少ない名作である。
久弥氏のシナリオは、癖がなく、それでいてしっかりと感動させてくれる、万人におすすめできるシナリオであると感じた。特に彼の担当する里村茜ルートは、非常に人気が高い。同氏はKANONでも一部のシナリオを手掛けており、そちらの評価も非常に高い。
このような理由から、万人に薦めることはできない。とはいえ、初期の純粋な麻枝准氏、久弥直樹氏のシナリオを楽しみたいというのであれば、最良の選択肢であると感じる。
攻略順
プレイされる方のために、こちらも個人の見解とはなるが、おすすめの攻略順を示しておこうと思う。
繭or澪or留美→みさき→茜or瑞佳→シュン
正直、ヒロインルートは各々の好みの順で攻略してもらっても全然かまわない。
ただ、瑞佳ルートがだいぶ癖のあるルートである点と茜ルートが「えいえんのえかい」に深入りしてくる点を踏まえると、これらは最後のほうがいい気がする。(トリは最後)
シュンルートは絶対最後
一応これだけは強調しておく。
シュンルートは「えいえんのせかい」に対する公式の見解を説明したものなので、ネタバレを避けるためにも最後に攻略することをおすすめする。
シュンルートを除けば、どのヒロインから攻略しても全体のシナリオという観点からは問題は生じない。
自分の好きなヒロインから攻略するもよし、攻略サイトのおすすめ順に従うもよしである。
当たり前の、されどかけがえのない日常に感謝して、今日も穏やかに過ごせますように。
それでは!
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