※この記事は、大学のサークルで行ったプレゼン発表の台本用に用意、拡張したものです。
かなり長いので記事を分ける予定です。
↓ノベルゲー入門②(続き)
はじめに

日本には数多くのヲタクカルチャーが存在する。
かつてのヲタク=アニメヲタクと画一化されたイメージから発展し、現在ではヲタクとは「特定の分野に熱中する人」として世間から認められるようになってきた。
その守備領域は原点のアニメ、ギャルゲ、アイドルはもちろん、ソシャゲ、Vtuber等々、多岐にわたっている。
ヲタク=犯罪者予備軍というレッテルはもはや過去のものとなり、むしろヲタクというのは社会的に優位なステータスともなりつつある。(弱者男性に対する蔑称が「ヲタク」から「チー牛」等に代用されていったというのもまた事実ではあるが。)
そんな前期ヲタクを担ってきたギャルゲー(ノベルゲー)は、もはや斜陽化しており、年々市場の縮小と倒産が相次ぐ不安の種となっている。
ノベルゲーに人生を救われた身からすると、この状況は堪える。
そこで、私がノベルゲーからもらったものを還元する意図をこめて、すこしでもノベルゲーの魅力を識ってもらおうと考え創出したのがこの記事である。
ノベルゲーの魅力は数多あるが、他の媒体(アニメや小説、漫画)と比較したうえでの優位性を中心に言及していきたく思う。
この記事をもとに、一人でも多くの方がノベルゲームという深淵に踏み入れてくれることを切に願う。
※高尚なイメージを先行させるために、ノベルゲームという表記を用いていますが、私が好むのは所謂ギャルゲーと呼ばれるジャンルです。(その中でもキャラゲー、シナリオゲーと大別されますが、(後述)私はシナリオゲーとしてのギャルゲーについて記述する予定です。)
ノベルゲーの歴史
やはり、歴史については触れなければならないだろう。「古きを訪ねて新しきを知る」まさにそれである。
起源

Wikipediaによると、1988年の「DOME」が起源らしい。
その後に出た「弟切草」や「かまいたちの夜」、「街」等はノベルゲームとして非常に有名で、その黎明期を担った存在と言える。
この頃は、ノベルゲーにギャルゲーの要素はなく、サウンドノベル形式(後述)のものが目立った。
ギャルゲーが台頭してきたのは1990年代からで、性行為や猟奇的シーン、鬱にフォーカスした作品が目立った。所謂鬱ゲー。
葉鍵の台頭

2000年代初頭になると、シナリオが重視されたギャルゲーが目立つようになる。
Leafというブランドからは「雫」や「痕」、「To Heartシリーズ」が、Keyからは前身のTacticsの「ONE」を含め、「Kanon」、「AIR」、「CLANNAD」といった作品が生み出され、2つ合わせて「葉鍵」と称され美少女ゲーム業界を担う存在となっていった。
特に、Keyは、「泣きゲー」の生みの親ともいわれ、ギャルゲーではないにしろ「Angel Beats!」や「Charlotte」は若年層を中心に人気を得ている。
業界を震撼させたFate/staynight

TypeMoon発のFate/staynightは業界に多大な影響を与えたと言える。
サウンドノベル形式で叙述されていくマスターと英霊の関係は、システム面もさることながら、バッドエンドにまでこだわったシナリオは、その後の作品に大きな影響を与え、オマージュと言うべき作品が数多く出回った。
Fateシリーズ自体も、ギャルゲからはじまり、今やアニメや小説はもちろん、ソシャゲに至るまで展開されており、その勢いはとどまるところを知らない。
ギャルゲの盛衰

2000年代から2010年代にかけて、数多くのギャルゲーがアニメ化された。
有名な例を挙げると、先述したLeafやKeyの作品、Fateシリーズに加えひぐらしシリーズ、シュタインズ・ゲート等である。
最盛期においては、一年で20本弱のギャルゲ原作アニメが放映されていた。
ところが近年(2010年代後半から2020年代)においては、なろう系や少年漫画系の台頭にその地位を追われ、ギャルゲ原作のアニメが0本という年も存在していた。
とはいえ、去年はATRIが、今年はSummer Pocketsや9-nine、ぬきたし等のアニメ化が決定しており、ノベルゲームの復興が期待される。
ノベルゲーのジャンル
キャラゲーかシナリオゲーか

ギャルゲーと一口に言っても、キャラゲーなのかシナリオゲーなのかによって傾向は大きく変わる。
キャラゲーはキャラクターの萌えに注視した物が多く、シナリオゲーはシナリオそのものに焦点を当てたものが多い。
キャラゲーかシナリオゲーかは明確な区別がなく、二元論的に分けられるものでもない。
キャラゲー派閥とシナリオゲー派閥は度々不毛な論争をSNS上で繰り広げているので、注意が必要。
アドベンチャーゲーム方式かサウンドノベル方式か


アドベンチャーゲーム方式は、画面の下部に文章が表示される方式で、ソシャゲでも取り入れられているように、より普及している方式である。
会話表現に適しており、会話中心の作品で多く用いられ、文章も読みやすいことが多い。
サウンドノベル方式は、画面いっぱいに文章が表示される方式で、会話よりも地の文を重視した作品で取り入れられることが多い。
文章は硬派なものが多く、普通の小説と同じような雰囲気で読むことができる。
この2つの方式であるが、その利点と欠点から場面に応じて使い分けられることもある。
泣きゲーと鬱ゲー

シナリオゲーは、さらに細分化され、様々なジャンルがあるが、ここでは泣きゲーと鬱ゲーについて言及する。
泣きゲーは文字通り、「泣けるシナリオ」が重視されたものであり、Key作品がその原典と言われる。
Key作品に加え、「さくら、もゆ。」や「はつゆきさくら」、「車輪の国シリーズ」はその最たる例といえる。
鬱ゲーも文字通り、鬱シナリオがメインであり、電波ゲー(「さよならを教えて」や「ジサツのための101の方法」「終ノ空」など)もその一つである。
とはいえ、泣きゲーと鬱ゲーの定義は明確ではなく、それらの積集合も数多く存在している。
ノベルゲーの優位性編に続く…
いかがだったでしょうか。
かなり長い内容になる予感がするので、記事を分けたいと思います。
次の記事では、ノベルゲーの概要を踏まえたうえで、ノベルゲーがアニメや小説、漫画と比べて優れている点を中心に扱っていきたいと考えております。
【なぜ、”ノベルゲー”でなくてはならないのか】ノベルゲーム入門②―ノベルゲーの優位性編―
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