ぼくたちは、恋していく。
喜:★☆☆☆☆(とてもそんな気分じゃないよ…)
怒:★★★☆☆(戦争と登場人物への怒りなど)
哀:★★★★★(鬱シーン多め)
楽:★☆☆☆☆(心抉られる)
こんにちは、お久しぶりのアニメに関する話題となっております。
今回は、先日私の所属するアニメ同好会のほうで最終兵器彼女を視聴したので、その感想をば。
結論、
人間関係のもつれと戦争を描く暴力的な感動作
です。
名作だとは思いますし、とても好きではありますが、人によっては見たことを後悔してしまうし、私自身ももう一回は見れないアニメでした。
あらすじ
一言でいえば、
戦争と終末という最悪の世界で、それでも恋をしていく少年少女の物語。
以下、東映ビデオ株式会社様からの引用となります。
ある日、何者かによって札幌が空襲された。そこへ敵機を次々と撃墜する謎の物体が出現。戦火の中、必死に逃げる”シュウジ”の前に降り立ったのは体から羽根と巨大な武器を生やし、最終兵器へと改造された”ちせ”だった―。
レビュー・感想
以下、レビューと感想です。結論を急ぐ方は、総評までとんでいただけると👍
ドロドロとした人間関係
本作は、戦争の色が濃く、それが主たるものであると思いがち(実際私はそうでした)かと思いますが、実はそんなことはありません。
むしろこの作品の魅力は、作中の人間関係そのものにあると感じます。
「ぼくたちは、恋をしていく。」という副題のとおり、この作品は主人公のシュウジとヒロインのチセを主軸に進みます。
最終兵器となってしまった彼女に、思春期特有の過ちを数々犯しながらも必死に向き合っていく姿勢と、どうにもならない人間関係と戦争の凄惨さが印象的でした。
戦争という極限状態にあるからこそ、人間の本能からか「恋」というものが芽生え、それゆえに多くの人を巻き込んでいってしまう人間ドラマは、見ていてとてもつらいですが、それゆえ価値ある作品だと思いました。
愛というものは、それ単体では美しいものでも、複雑な事情が挟まり、多くの人が絡むとそれはたちまち愛憎となり、とりわけ戦争という極限状態では、制御できないほどの大きさになってしまうのだと思います。
誰かを愛することは誰かを縛り付け、またほかの誰かを深く傷つけうるものだと感じました。
誰も悪くない、仕方がなかったんです。
この作品の切なさの由来は、救いのない世界そのものにあるように思います。
もともとは普通の高校生をしていたシュウジもチセも、戦争という個人の領域ではどうにもできない事態に巻き込まれ、その中で多くの失敗を繰り返します。
最終兵器にされてしまったがゆえに、数多くの人を殺し、その罪に苦しむチセの姿と心のよりどころを求めて浮ついてしまうシュウジの姿。
極限の状態下での過ちを誰が一体責められるのでしょうか。
誰にも責められない、仕方ないことだと、私は割り切ってしまいたくなります。
でもそれを許さない世界の理不尽さが、不条理がそこにはあるのだと感じました。
平時であれば、若気の至りとして笑って済まされるような過ちが、戦時下においては、後悔してもしきれない、許されざる大罪にもなりうるという過酷さとやるせなさが根底になるように思います。
シュウジとチセ成長
シュウジとチセは、作中で対照的な成長をしていったと思います。
シュウジについては、その成長とは「己の弱さを知る」ということでした。
自分の思い通りに行くと考えていた当初から、回を追い、戦争というものの悲惨さに向き合うにつれ、自分の限界というものに気付き、謙虚になっていったように思いました。
一方チセはというと、「肉体的にも精神的にも強くなる」という成長をしたように思います。
当初のチセは、ドジでのろまな印象がありました。
しかし、回を追うごとに、兵器として肉体が強くなり、戦争の悲惨さに向き合うことで精神的にも強く成長していったように思います。
初期の弱気なチセに寄り添う強気なシュウジという構図から、最終回の絶望したシュウジを優しく包み込むチセという構図への変化と対照性が印象に残っています。
総評
名作には違いありません。
ただ、もう一度見たいかと言われたら見たくないし、人によっては後悔する内容ではあると思います。
事実、シナリオも決して緻密に計算された美しいものというよりは、鈍器で殴るような、いわば乱暴な感動が大半を占めているように思います。
それでも、その乱暴さこそが、決して美しくなく、綺麗ごとでは語れない、計算しようのない鬼気迫る凄惨な戦場の真実を秀逸に言い表しているような気がしてならないのです。
綺麗さとは程遠く、ドロドロと、そしてグロテスクで、救いようのない世界ではありましたが、それでもなお、彼らは恋をしていたのだと、私は信じます。
あとがき
だんだんと寒くなってきましたね本当に。
かつては四季が存在していたとまことしやかに言われている日本ですが、とうとう夏と冬だけになってしまったのでしょうか。
そんなことはさておき、またしても久しぶりの記事更新です。
ノベルゲームの感想を書こう書こうとは思っているのですが、プレイが遅く、それどころではありません…
差し当たって、今まで視聴したアニメの感想や、すでにレビューしたゲームの焼き直し等々を中心にしていけたらなと。
次に会うのはおそらくSAOの記事です。
私の青春であり、人生の目標でもある思い入れのある作品ですので、レビューとか感想とか関係なく、思いの丈(下ネタじゃないよ)をぶちまけるつもりです。
生きていけることに感謝して
それでは!
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