【なぜ、”ノベルゲー”でなくてはならないのか】ノベルゲーム入門②―ノベルゲーの優位性編―

ノベルゲーム
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※この記事は、大学のサークルで行ったプレゼン発表の台本用に用意、拡張したものです。

前回の記事に続くお話です。前回の記事の併読をおすすめします。

前置きは前回の記事でさんざんしたので、いきなり本題に入ろうと思います。

前回記事↓


理系ヲタク🤡
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ノベルゲームの優位性

ノベルゲー入門①でも述べたように、物語を紡ぐ媒体としては、ノベルゲーの他にもアニメや漫画、小説が考えられる。

他にも媒体がある中で、「なぜ”ノベルゲー”でなくてはならないのか」、これは当然の疑問であって、他媒体と比較したノベルゲームの優位性は自然と要請されるはずである。

映像、音声、文字の重ね合わせ

ノベルゲーは、映像、文字、音声の三要素で構成されている。この三要素をすべて兼ね備えたのは、ノベルゲーだけであろう。

映像の優位性

ATRIの原作のCG
アニメのATRIのCG

映像について、アニメや漫画もこの要素を持っている。

正直に告白すれば、アニメや漫画ほどの「動き」のある作品は、ノベルゲーにおいてはほとんどない。(紙芝居と形容される所以である。)

しかし、動画的ではなく静画的観点で見れば、ノベルゲーが最も優れているといってよい。

アニメや漫画は動画的であるがゆえに、一枚一枚の絵は簡素にならざるを得ない。

ノベルゲームは動画的な凄みはないが、静画的な、瞬間を切り取った凄みがあるのである。

この静画的映像美こそ、ノベルゲーが(映像がほとんどない小説はもちろん)アニメや漫画に比して優れている理由である。

上に原作、アニメバージョンのATRIのCGを載せておいた。各自比較してみてほしい。

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音声の優位性

ギャルゲ史に遺るであろう神曲、櫻ノ詩

音声による利点も決して無視できない。

音声は、アニメとノベルゲー以外の媒体ではお目にかかれぬものだろう。

音声がのると、臨場感が非常に上がる。

声優さんの力によってキャラクターに命が宿るだけでなく、BGMによって作品に魂が宿る

ノベルゲームには名曲が多い。オープニングやエンディングはいわずもがな、ふとした挿入歌ですらである。

名曲が多いが、近年主流となっているサブスク展開はほとんどされていない。

ゆえに、気に入った曲があったらぜひサントラを購入してみてほしい。

音声、とくにボイスに関しては文字情報ともかなり密接に関わってくるのではあるが、詳細は後述する「文字の優位性」に譲るものとする。

理系ヲタク🤡
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映像と音楽だと、音楽のほうが記憶に強く残る気がする。挿入歌を聴くと、そのシーンがありありと思い出される。

文字の優位性

ノベルゲーをやってきて、一番心にのこった名言。文字だけでなく、声が入ることによって、言葉が生きる。魂が宿る。「サクラノ詩」より

文字の優位性、私としてはこの点に注視してもらいたい。

そこで、映像、音声の項に対して特別視し、近年活字離れが深刻化していることも踏まえて「文字そのものが優れている理由」と「ノベルゲーにおける文字の親和性」という二段構えでお送りしたいと思う。

アニメのように、映像と音声があれば、大方の情報は伝達することができる。

にも関わらず、文字そのものがなぜ優れているか、端的に言ってしまえば、「映像、音声だけでは伝わらないものが確かにあるから」なのである。

文字の歴史は古い。

遡れば、紀元前数千年前、楔形文字や象形文字、甲骨文字に起因する。

古代ギリシャやローマにおいては、「修辞学」という文字を中心にした言葉の扱い方に特化した学問すら存在していた。

一口に文字と言っても、その用法によって受け取り方が大きく異なるほど、奥深いことは歴史が証明している。

音声に対する優位性をさらに強調するのであれば、それは「離散的」だということである。

言葉は音声のみでは「見る」ことはできない。

しかし、文字という記号によって、我々は言葉を見ることができる。

音声は連続的だが、文字は離散的である。故に、瞬間を切り取ることができる。

理系ヲタク🤡
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離散的ということは、分割できるということ。

瞬間を切り取れるがゆえに、我々は文字情報から得た言葉というものを、人生という旅の伴侶として連れて行くことができる。座右の「銘」というように、」とはまさしく「刻まれた文字」なのである。)


なるほど、文字情報は確かに優れている。

では、殊ノベルゲーにおいて文字の親和性が高いのは何ゆえであろう。

ここでもやはり注目すべきは音声との相互関係である。

文字に音声が加わることで、文字として切り取られた瞬間が音声によって反復される。(会話における文とボイスの関係)

文字と音声という2つの情報によって、人物の発言が頭に残る。

さらにいえば、

記号に過ぎない文字に音律が重なり、言葉にが宿る。

魂が宿った言葉は本物になれる。

これこそが文字と音声の相互関係が生み出すノベルゲームの髄であり、素晴らしさなのである。


理系ヲタク🤡
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映像、音声、文字の特性から、ノベルゲーは戦闘といった動きのあるシーンより、人物の心情や情景描写に特に優れた媒体と言える。

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確保できる尺

あの京アニ手掛けるCLANNAD。アニメ視聴の有無にかかわらず、原作も楽しめると思うので是非。

アニメに比べて、ノベルゲーは確保できる尺が長い、というより、ノベルゲーをアニメ化するには尺があまりにも足りない

CLANNADを例に上げてみる。

批評空間によると、原作のプレイ時間中央値は50時間であるのに対して、アニメはOVA含め全48話(20時間弱)である。

アニメ版は、何名かのヒロインの√を削ったうえで制作しているので、アニメの尺は圧倒的に足りていないことがわかる。(アニメ化が成功したと言われているCLANNADですらこの状況なので、アニメ化が成功しにくいのも頷ける。)

小説や漫画は、一見すると尺に余裕がありそうではあるが、逐次的に刊行されていくので、ギャルゲのように尺やシナリオをあらかじめ決定して発売することは少ない。

続刊を待つうちに、既刊の内容を忘れてしまう経験は、一度や二度ではないと思われる。

ギャルゲは、(複数部構成のものもあるが)基本的には買ってしまえば自分のペースで進めることができるので、内容を忘れてしまうことは少なく、読後感も非常に良い。

理系ヲタク🤡
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長い時間をかけてプレイし終わった後の読後感というか余韻というか…
これに関してはノベルゲーでしか味わえない醍醐味だと思う。

ループ構造

ノベルゲー発でアニメ化されたループものでいうと、やはりシュタインズ・ゲートが有名であろうか…

アニメや小説が基本的には一本道のストーリーを扱うのに対して、ノベルゲーは選択肢による分岐によって異なるストーリー(√分岐)を展開できる。

中には、そのループが非常に重要な意味をもつ作品も存在している。

このような作品は、アニメの場合、普通はループをしないので、ループシーンがあった瞬間に(序盤で)「これループしてるな」と気付いてしまう。

一方、ノベルゲーの場合、ループが普通なので、途中でループに意図があることに気付きにくく、ゲームの終盤で「うわ、これ他の√とつながったループだったんや!」となり、大興奮できる。

理系ヲタク🤡
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他の√が実はトゥルールートと密接に絡んでいることに気付いた衝撃が、ノベルゲーならではであり、アニメでは再現不可能だと思う。

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普通に、R18要素。

R!8要素があるからこそ成立する「素晴らしき日々」。こういう作品との出会いがあるからエロゲはやめられない。

やはり私も男なので、いやはやこれが全てなのかもしれない。

昨今、主にシナリオゲーにおいては全年齢化が進んでおり、「R18要素がいるか否か」が度々議論となっている。

私個人の主張としては、「R18がなくても大丈夫な作品もあるが、あって困ることはない。」というのが結論である。

R18、主に性行為がこれに該当するが、たとえシナリオゲーであっても、いやシナリオゲーであるからこそ、ヒロインと結ばれたことを明示するためにエロシーンというのは超超超重要だと思う。

その道に苦難があればあるこそ、「愛情表現の最終形態」と呼ぶべき性行為の描写によってすべてが昇華され、感無量なのである。

一部、性行為以外にR18要素を盛り込む作品もある。グロシーン、鬱シーン等が該当する。

こういう類の作品は、R18抜きでは語れない

R18シーンがあることによって作品が色づくのであって、それを抜いてしまっては色褪せ、陳腐化してしまうだろう。

先述した「素晴らしき日々」も含め、⑱禁だからこそ、ノベルゲーだからこそできる作品が数多ある。

このテの作品は、往々にして時にはプレイを辞めたくなるほどの鬱シーンがあるが、それでもプレイし終わった後には「やってよかった…」という気持ちになれるし、その時の読後感というか、余韻というかはひとしおである。

こういう出会いがあるからノベルゲー(もといエロゲー)は素晴らしい。やめられない。

理系ヲタク🤡
理系ヲタク🤡

色々偉そうに言ってますが、私も男なのでやはりR18があるとニッコリ😀なのです。
本当にすみません。

ノベルゲーの選び方とおすすめ作品編に続く…

ということで、ノベルゲーの優位性編でした。

アニメや漫画もいいんだけど、文字でしか伝わらないこと、さらにいえば文字と音声両方あるノベルゲーだからこそ伝えられることが確かにあるのだということを、やはり強調しておきたいです。

前回記事が約3000字、本記事が約4000字と、稀に見る大著となっています。

おそらく次が「ノベルゲー入門」の最後の記事となります。

初心者向けに、ノベルゲーの選び方と参考程度ですが私なりのおすすめ作品を何点かピックアップする予定ですので、最後までお付き合い頂けると有り難いです。

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